センター長ご挨拶

腫瘍センター長 大家基嗣

現在、2人に1人ががんに罹り、3人に1人ががんで亡くなる時代と言われており、がんは我が国における最も深刻な病気の一つです。今後、高齢化の進行に伴い、がん患者はさらに増加することが予想されています。こうした社会的な要望の高まりもあり、包括的にがん医療を提供するために、診療科の枠を超えた横断的な組織として、2009年4月に腫瘍センターは発足いたしました。

従来、わが国ではがんが発生した臓器を診る医師のもとで、それぞれのがん治療が行われてきました。がんに関連する分子生物学や遺伝学、免疫学、薬学の急速な進歩により、現在のがん治療では、それぞれの臓器に関わるものだけではなく、各がんに関する共通した幅広い横断的な知識や技術が必要となってきております。それと同時に、日進月歩の専門的な知識や技術を取り入れていかねばなりません。
当センターでは外科、腫瘍内科、内視鏡、緩和ケア、リハビリテーション、歯科・口腔外科などの複数の専門医がそれぞれの専門性を発揮し、協力して、全てのがん治療を網羅できるように対応しております。

発足以降、各種がん専門外来、外来化学療法部門に加えて、放射線部門、緩和医療部門、低侵襲療法開発部門、リハビリテーション部門、がんゲノム医療部門を開設し、さらに幅広く、高度ながん医療を提供できる体制を強化しております。
そうした活動が評価され、当院は2018年度に第3期がん対策推進基本計画に基づき整備された「がんゲノム医療中核拠点病院」、2019年度に新設された「地域がん診療連携拠点病院」に指定されました。今後も新たな医学・医療の発展に寄与すべく、取り組んでまいります。

また、各がん専門医だけでなく、専門看護師、専門薬剤師、理学療法士、医学物理士、歯科・口腔外科医師、歯科衛生士、メディカルソーシャルワーカー、医療事務などの多くの医療スタッフが所属し、協力して医療にあたっていることも当センターの強みです。
「がんに対する治療」は日進月歩ですが、「がんに対する医療」としてのがん患者さん、ご家族へのサポートの充実は欠かすことができません。病気や治療の副作用などのつらさや不安から、日常生活や就労、就学といった社会生活で困ったことまでサポートできる体制をますます充実させていきます。何かお困りのことがあれば、スタッフにお声掛け下さい。
今後もスタッフ一同一丸となり、我が国におけるがん医療の新しい形を模索し、実現してまいります。